西寿寺の地蔵堂の前の広場には、円山公園の枝垂れ桜の孫桜が植わっています。この枝垂れ桜は、30数年前に桜守で有名な佐野藤右衛門さんのところから若木をいただき、今では大きな枝垂れ桜に成長したものですが、本当の名前は「祇園枝垂れ」というそうですが、西寿寺では別名「千代枝垂れ」と呼んでいます。なぜなら、この枝垂れ桜を寄付してくださった方が、「千代子さん」いうお名前だったからです。千代子さんは、舅さんの三回忌の供養になにかしたいといってくださり、先代が「無理をいいますが、丸山公園の枝垂れ桜」を寄付して欲しいと頼まれたのです。千代子さんは藤右衛門さんのご親戚だったこともあり、無理を聞いていただき、この広場の真ん中に枝垂れ桜の若木を植えていただいたという訳です。その10年後位に千代子さんは亡くなられました。千代子さんの晩年はとてもお辛い日々であったと聞いています。私たちは、千代子さんからいただいたこの桜を守り続けるとともに、次の代の人にも千代子さんへの恩義の心を持ち続けてもらえるように、この枝垂れ桜を「千代枝垂れ」と呼んでいるのです。私も歳をとり、先代も来年で17回忌となり、千代子さんのことを知るものは誰もいなくなりますが、「千代枝垂れ」の名は、西寿寺が存続する限り残すことができます。いつか、私も千代子さんにお浄土でお会い出来ると思いますので、その日を楽しみに残りの人生を過ごしていきたいと思っています。合掌